2012年8月1日 | 税理士ブログ

【節税】不要な固定資産があれば、除却しましょう

こんにちは。

今回は、意外と見落としがちな固定資産の除却についてご案内します。

■固定資産の除却とは何ですか?

□固定資産の除却とは、現在残っている固定資産を廃棄するということです。

固定資産の除却が行われた場合、原則として帳簿残高を
固定資産除却損で経費計上することができます。

■除却するためにかかった費用も経費に計上できますか?

□除却するためにかかった費用(例えば取壊し費用など)も、
もちろん固定資産除却損として経費に計上することができます。

■実際に廃棄するとなると、多額の取壊し費用がかかりそうです。
 実際に廃棄しないと経費が計上できないのですか?

□たとえ廃棄処分していなくとも、一定の資産の場合には、
現状の姿のままで帳簿残高から処分見込額を差し引いた残額を
固定資産除却損として計上することができます。

現状の姿のままで除却するため、「有姿除却」と呼ばれています。

例えば、簿価100万円の固定資産を有姿除却する場合、
処分見込額が5万円だとすると、
95万円を固定資産除却損として計上することができ、
利益から差し引くことができるのです。

取壊しや撤去費用もかからず、経費が計上できるため、
会社の所有する資産の中に有姿除却できるものがある場合は検討に値します。

■どのような資産が有姿除却できるのですか?

□有姿除却できる資産として、通達には以下のように示されています。

(1) その使用を廃止し、
    今後は事業に使用する可能性がないと認められる資産
(2) 特定の製品の生産のために専用とされていた金型などで、
    その製品の生産を中止したことにより、
    将来使用される可能性のほとんどないことが
    明らかな資産

つまり、有姿除却を行う場合には、
その資産が今後、使用されることが無いことが条件となります。
一時的な使用の停止等では、
除却損を計上できませんので注意してください。

■その他に除却費用を出さずに除却できるものはありますか?

□ソフトウェアも一定の場合、除却することができます。
 通達により、以下のような場合に除却が認められます。

(1) 自社利用のソフトウェアの場合
    
    そのソフトウェアによる業務が廃止され、
    利用しなくなったことが明らかな場合、
    又は他のソフトウェアを利用することになり、
    従来のソフトウェアを利用しなくなったことが明らかな場合

(2) 販売用のソフトウェアの場合
 
    新製品の出現、バージョンアップ等により、
    今後、販売を行わないことが社内稟議書や
    販売流通業者への通知文書等で明らかな場合

このように有姿除却やソフトウェアの除却は、
資金の支出を伴わない経費を計上できる点で、有効な節税方法と言えます。

ただし、その固定資産が今後使用される可能性がないという証明が
後の税務調査対策の上で重要となります。
その資産を有姿除却するに至った経緯・理由を具体的に記載した稟議書や、
役員会の議事録等を残すという方法も一つの方法です。

固定資産の中に思い当たるものがある場合は、
一度検討してみてはいかがでしょうか。

TOP